お役立ちコラム
2022/09/09
生命保険や死亡退職金の相続
こんにちは 神戸、明石、加古川の相続遺言をおまかせください。司法書士の山下です。
相続手続きでは必ず相続財産を確定する必要があります。
相続財産は、亡くなった人が持っていた財産だけでなく、亡くなった事で得られる財産も含まれます。
今回は亡くなった事で発生する財産として、生命保険金、死亡退職金、損害賠償請求権を解説します。
生命保険に加入していた人が亡くなった場合、保険会社から保険金が支払われます。
保険金は結構な金額である場合が多いので、この保険金が相続財産に含まれるかどうかは相続人にとって重要な問題です。
受け取る保険金が「相続」財産に含まれるかどうかは、生命保険の契約で「受取人」を誰にしているかで決まります。
【1】受取人を亡くなった人自身として契約していた場合
受取人を亡くなった人自身として契約していて、他の保険金受取人を指定していなかった場合は、保険金請求権は亡くなった
人の相続人に帰属することになるため、相続財産に含まれることになります。
この場合、相続人は他の相続財産と合わせて保険金を相続することになります。
【2】受取人を相続人の誰かに指定していた場合
受取人を相続人の誰かに指定していた場合には、保険金請求権は指定された相続人固有の権利であり、相続財産には含まれません。
そのため亡くなった方の相続手続きとは関係なく、保険金の請求ができることになります。
【3】相続財産になる、ならないの違い
相続財産に含まれるかどうかでどんな違いが出るのでしょうか。
相続財産に含まれるということは、相続人が取得するには複数の相続人がいる場合「遺産分割協議」が必要になります。
また、亡くなった方に負債が多く相続人が「相続放棄」をした場合、相続財産に含まれると保険金も放棄したことになりますが、
含まれない場合には保険金は相続放棄に関係なく指定された者が取得することができます。
死亡退職金は、労働者が在職中に死亡した場合雇用主から支払われるお金です。
その意義は死亡当時その亡くなった方と生活を共にして、その収入によって生活を維持していた人の、
その後の生活を維持救済するために支給されるものです。
勤めていた会社の就業規則で定めがある場合や、慣行として支払われている場合には遺族は会社に請求することができます。
この死亡退職金が相続財産に含まれるかどうかは、受取人の指定が就業規則などで定められているかどうかで決まります。
【1】受取人が定められていない場合
受取人が就業規則などで指定されていない場合には、死亡退職金の請求権は亡くなった方が取得し、相続人はその請求権を相続することになります。
この場合、死亡退職金は相続財産に含まれることになり、相続人は他の相続財産と合わせて死亡退職金を相続することになります。
【2】受取人の指定がある場合
一方で受取人が指定されている場合には、相続財産には含まれず指定された者は自分自身の権利として死亡退職金を請求することができます。
この場合、死亡退職金は相続財産に含まれないことになり、そのため亡くなった方の相続手続きとは関係なく、死亡退職金の請求ができることになります。
【3】相続財産になる、ならないの違い
相続財産に含まれるかどうかでどんな違いが出るのでしょうか。
死亡退職金は生活を共にしていた方の救済という面があるため、法定相続人以外の「内縁の妻」などがお金を受け取ることができるかどうかに違いが出ます。
相続財産となる場合には、内縁の妻は相続人ではないため死亡退職金の請求はできません。
一方で相続財産とならない場合には、内縁の妻が請求できるかどうかは就業規則等の内容によることになります。
就業規則などで受取人の指定がある場合には、通常第一順位の受取人として配偶者となっています。
この配偶者に「内縁の妻」が含まれるかどうかによって受け取れるかどうかが決まります。
国家公務員等退職手当法には配偶者に内縁の妻も含めると規定していて、民間企業でも同様の規定を設ける場合が増えてきています。
内縁の妻として受取人になれる場合、他の相続人から返還請求を受けたとしても返還する必要はありません。
事故で怪我などの損害を受けた場合、加害者に対して損害賠償請求権を取得します。
この場合、事故の被害者が不幸にして死亡してしまった場合も同様に被害者は加害者に請求権を取得し、
死亡により相続人が損害賠償請求権をその他の財産と共に相続することになります。
損害賠償の請求は、相続人が本人に代わって請求することになりますが、
本人は死亡しているため状況の解明が困難になったり損害額の計算も複雑になるため、解決までに長時間かかることになります。
生命保険も死亡退職金も、受取人として本人以外が指定されていれば、指定された人の固有の権利として相続財産に含まれません。
これに対して、損害賠償請求権は受け取り指定をする性格のものではなく相続財産の一部となります。
相続財産となるかどうかで「遺産分割協議」や「相続放棄」、また「内縁の妻」などにも影響がでてくるので、
しっかりと財産を把握して手続きをする必要があります。
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