お役立ちコラム
2022/09/09
相続の基礎 相続するものしないもの
こんにちは 相続遺言ご相談下さい。神戸市垂水区の司法書士山下です。
神戸明石相続アシストのページでは相続や遺言についてのトピックを扱っています。
今回は知ってるようで知っていない「相続」の基本について解説します。
1.相続の基本
2.同時に複数の相続が起きた場合はどうなる?
3.死亡とみなされる場合もあるの?
相続について法律は民法で規定しています。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。(民法896条)
このように相続は「財産に属した一切の権利義務を承継する」ので、不動産や預貯金、株券といった正の財産だけでなく、
借金や連帯保証の保証債務といった負の財産=義務も相続することになります。
そのため、相続財産が負債のほうが多い場合には「相続放棄」の手続きをする必要があります。
但し書きでは「一身に専属」したものにつき例外としています。
この一身専属権は、扶養請求権や年金請求権といったその人だけが行使できる権利です。
そのため例えば年金請求権は相続できません。
相続は人が亡くなることで開始し、相続人となる人が決まります。
ここで不幸にして複数の相続が同時に起きた場合はどうなるでしょうか?
例えば親子がドライブ中に事故に会い2人とも亡くなってしまう場合です。
このとき親子のどちらが先になくなったか判然としない場合、法律では「同時に死亡したものと推定」
(民法32条の2))され親子間では相続が発生しない事になります。
この規定は昭和37年に民法に追加された規定です。この規定ができるまではどちらが先に死亡したか
で相続人が変わることがあるために相続人間で大きな争いが起こる場合がありました。
もっともこの規定は「推定」するとあるので、どちらが先に亡くなったかが分かるのであれば、
その順序とおりに相続が起こります。
東北の大震災で津波で亡くなった方の中には未だ見つかっておらず生死が不明な方も多数おられます。
このように危難が去ったあと1年間その者の生死が不明な場合には、特別失踪の失踪宣告を受けると
危難が去った後の1年後に死亡したものとみなされる規定があります。
この場合、法律上その方は「死亡したものとみなされる」ため相続手続きが開始する事になります。
失踪宣告は家庭裁判所に「失踪宣告の申立」をして審理を経ることで受ける事が出来ます。