お役立ちコラム
子供がいない夫婦間での遺言
こんにちは 神戸、明石、加古川を中心に相続手続きをサポートしている司法書士の山下です。
今回は「子供がいない夫婦間での遺言」についての相談です。
子供がいない夫婦間でのお互いに遺言書を作成したいといった相談を受けました。
お互い夫婦間で全ての財産を相続させたい場合には、遺言書には
1.一切の財産を妻(夫)○○に相続させる。
2.遺言執行者に妻(夫)を指定する。
旨を書けば配偶者に財産を相続させることが出来ます。(遺留分の問題等は後述します)
特に夫婦が30代~50代の場合には、死亡時までに時間があり財産の内容も変化する事が予想される為、
財産を細かく記載するよりも「一切の財産を」といった記載が有効です。
もちろん不動産が含まれていても、遺言書通りに登記が可能です。
残された配偶者が、亡くなった方の親族とのトラブルにならないようにするにはどうすればよいか遺言の中身を検討しましょう。
いくつかのケースに分けて検討します。
【1】相続発生時、子がいない場合で両親が存命の場合
その場合、両親には1/3の相続分があることになります。
遺言で配偶者に「全て相続させる」と記載した場合でも
両親には遺留分(法律で保護された取り分 1/6)があります。
両親が相続分を要求しなかった場合には、全て配偶者が相続して手続き完了となります。
仮に遺留分を請求された場合には、1/6については金銭等で支払う必要があります。
遺留分の放棄(裁判所での手続き)をしない限りは、どのように遺言書を書いても遺留分は残ります。
遺留分の放棄を両親にお願いするほどのことは無い場合、遺言の付言事項に何らかのメッセージを記載する事で、
遺言者の「思い」を両親や他の親族にも伝える事が出来ます。例えば、、下記のようになります。
両親、親族への感謝&遺言者の遺言を尊重して遺留分請求はしないで欲しい
(平易にいうと配偶者に全て相続させて欲しいとの旨を記載します)
【2】相続発生時、子がいない場合で両親が既に他界されていた場合
この場合は、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になりますが、兄弟姉妹に遺留分は無いので、
遺言書の内容(配偶者への一切の財産の相続)がそのまま有効になります。この際、遺留分の心配はありません。
【3】今後、子が生まれた場合のこと
子が生まれると子と配偶者が相続人で両親、被相続人の兄弟姉妹は相続人ではありません。
仮に、万一子が小さいうちに配偶者が亡くなった場合、相続は子と配偶者間で行ないますが、
子の年齢が小さいと利益相反行為となり特別代理人の介入が必要になってしまいます。
その為、親権者として財産管理する間は、遺言書の通り配偶者が全部もらうほうがスムーズです。
子が生まれた場合でもすぐに慌てて遺言書の書き直しをするのではくある程度時間が経ってから改めて検討されれば良いでしょう。
夫(妻)の○○に相続させる旨の遺言をしていて離婚した場合、明確な規定はありませんが夫(妻)では
無いため遺言者の意思としてはもはや相続させないと考えるのが妥当でしょう。
裁判例もありますが個々の事情により判断されるようです。
こういった状況になった場合は、速やかに遺言書の再作成をおすすめいたします。
仮に配偶者が亡くなり「全財産の相続」が発生したのち、生存配偶者が死亡した場合、
「配偶者への全財産の相続」の遺言では配偶者は存在せず、遺言は効力を生じない=法定相続となります。
その際には再度の遺言作成をご検討下さい。
司法書士事務所 山下リーガルサービスでは神戸市垂水区、須磨区、長田区、北区、西区、中央区、明石市など近郊の相続、遺言対策に力を入れています。
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